▼ぬるい婚活トークよりNHKワイルドライフ
NHKのいきもの系番組は、
なまじな婚活トーク番組なんかよりよっぽど身が引き締まる
といつもしみじみ思います。
NHK「ワイルドライフ」〜カナダ西海岸 ベニザケ数千万匹！ 大遡上を追う
（番組HPより）
【夏から秋、真っ赤に身を染めたベニザケが
4年に一度“ビッグラン”と呼ばれる世界最大級の遡上をすることで知られ、
2014年はその年に当たる。
史上最大数千万匹が遡上すると予測されていた。
ビッグランの年は、ふだんよりも数が桁違いに多いため、
その遡上は激しさを極める。
体力の消耗、これまでにない数の天敵、そして、産卵場所をめぐる過酷な争い。
ベニザケはどのように子孫を残そうとするのか、
陸・川・空から命のドラマを見つめる。】
この年は、メスをめぐるオスの争いだけではなく、
メスもまた、産卵場所を巡って熾烈な戦いをしなければならない。
産卵場所を確保出来なかったメスは、傷だらけの体にムチうち、
更に上流へと移動をする。
岩だらけの悪所に、わずかな可能性にかけて穴を掘る為に。
更に更に上流には、
産卵場所も決められぬまま、まさに今命尽き果てるベニザケが水面に浮かぶ。
このときのナレーションが
【川のあちこちでひっそりと一生を終えるベニザケの姿がありました。
その体はいつまでもひとところに留まることなく、再び下流に流されます。】
負け組のみじめな末路？
いやいやそんな浅薄な話ではなく。
ここからがむしろすっきり腹落ちする自然の摂理。
結局のところ、最後は皆同じように流されていくのです。
子孫を残したものも残せなかったものも。
命がけで産卵されたベニザケの卵を、カモメが食べます。
命尽きて湖まで流れ下ったベニザケを、ハクトウワシが食べます。
冬の間、多くの生物の糧となります。
冷然たる自然の食物連鎖。
そしてまた、湖に折り重なって沈んだベニザケは、
分解されてプランクトンとなり、
そのプランクトンを、
前の年に生まれたベニザケの子どもが食べるのです。
水底で活発にプランクトンをつつくたくさんの稚魚たちの頭上の水面を、
命尽きたベニザケの体がゆっくり漂って流れ去っていくという映像が秀逸。
婚活の必要性について一時間懇々と説得するよりも、
黙ってこの番組見せて、
ヘンなプライドで閉じているより、命がけで体当たりのサケの方が潔いわい、
と乱暴に突き放してみたい。
中村幸代の壮大なテーマ曲をバックに。
